《 素足の保育 》

 健康法としてのウオーキングが盛んですよね。「美しい歩き方教室」なんてのもあちこちで開かれるようになりました。いろいろと巡りめぐって原点に戻ってきたなあと感じます。直立・二足歩行。まさに人間が人間たるゆえんですね。でもこれ、誰もが何でもなくできてるようで、実はあんまりできてない。私自身ウオーキングの指導を受けて、今までいかに自分のからだの使い方がわかっていなかったかがわかりました。足裏の体重移動を感じながら歩くというのが全然できていなかったんです。土踏まずを囲む3点で立つというのは未だにその感覚がつかめないし、足指が浮いているし。

 幸か不幸か日本は世界有数の経済大国となりました。.....こんな言い方をしたら戦後の復興に命をかけてこられた先人たちに対して失礼ですよね。もちろん私だって毎日、文明の恩恵に浴して生活しているわけです。何もかもが便利でらくちん、スピーディー。でも、そんな環境に慣れきってしまうことで、なにか生き物としての根源的な部分が弱っていくように思うのです。ありあまるほどの物質文明を手に入れ、社会が管理的になってゆくと同時に、私たちは、なまの「いのち」、その輝きみたいなものからどんどん遠ざかってゆくように思うのです。

はだしで暮らせば土踏まずができて健康にいい。これくらいの事は誰だって知っています。でも「じゃあ、みんな毎日はだしで生活すればいいじゃないか」とは、ならないんですね。そのへんの道をはだしで歩いたとしたら、たちまちまわりから奇異の目で見られてしまいます。服装とのかねあい、TPOというのもあります。私たちは、いったん進んだ文明をもとに戻すことはできないのです。だったら幼稚園でそれが可能な「場」をつくりたい。たとえ暮らし全体のほんのいっときであったとしても、子ども達にはだしで遊びまわる経験をさせたいのです。

 くつ下をぬいで外に踏み出す。ピキピキピキーッと刺激が足裏から脳髄へ伝わっていくのがわかります。感覚の覚醒。どんよりとした滓が瞬く間にはらいのけられていくようです。世界が鮮明になります。いかに私たちはふだんの生活の中で、感覚を鈍麻させられていることでしょう。そんな事をつくづくと思わずにはいられません。「お外遊びだよー」の一言で、いっせいにワーッと園庭へとびだしていく子ども達。鮮やかな感覚をごくあたりまえのように受け止めて、子ども達はどんどんたくましく育っていくように思います。しなやかな野性味をもった文明人。これこそ現代を生きる我々人間の理想像ではないでしょうか。

まいづる幼稚園

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